円形小立坑の築造

投稿をご覧いただけていれば、推進工事では発進立坑と到達立坑を築造することは周知のことですね。

中大口径推進では鋼矢板やライナープレートで立坑築造することがほとんどですが、街が完成していくと、この立坑の築造する場所が少なくなっていく傾向にあります。過去に空き地だった場所は住居や商業施設が建ち、立坑付近の占有地が狭隘になってしまう状況です。小口径推進でも、ほとんどの立坑が小立坑での施工になっていると感じます。

中大口径推進において、どのくらいの立坑寸法が必要なのかは、各推進工法協会の歩掛や日本下水道協会が発行する書物に記載されています。また、これらの資料で工事の設計・積算が作成されています。

では、どのようにして小立坑からの発進や到達ができるようになったのでしょうか?

やはり、推進工事で必要とされる立坑築造は、都市部に限らず一般道路上に築造を計画することがほとんどです。よって、可能な限り道路を占有することのない立坑築造が望ましいと考えられます。小口径推進では、いち早くマシンの分割構造が見直されて、さらにライナープレート型の立坑築造方法からケーシング型の円形立坑築造機器が設計・生産されました。下の写真にあるような直径3000mmの円柱型の”ケーシング”と称する鋼板を丸めた構造物を縦方向に埋め込み、ケーシング内部の土砂を掘削・除去しながら地下へ押し込み進める方法です。具体的な立坑の施工方法は割愛にしますが、このような円形ケーシング立坑築造機が活躍し始めた頃から、小立坑の発進や到達が実際の小口径推進の歩掛、強いては設計・積算に反映されるようになりました。
この立坑築造機は直径φ2500mm~φ4000mmのケーシングを対象としているので、中口径推進(φ800mm~)の到達立坑の築造には採用されるようになりました。さらには、マシンのを分割した状態にして元押ジャッキを小立坑に収まるように設計・製作されることにより、中口径推進の”小立坑化”が可能になりました。

狭隘な施工スペースをいかにして施工できるように、マシンやジャッキメーカー各社が検討した結果が、このような施工方法を生み出したことでもあります。また、この小立坑施工は、初期掘進や施工中の段取りなど、立坑内のスペースも狭く作業効率もなかなか上がらないことも懸念されましたが、そこは施工会社の方々の
今までの経験や工夫などにより確立していったことでもあり、推進工事における画期的な技術革新と言えるでしょう。

私も、この小立坑発進・到達ができる機材の開発に関わりましたが、結局は施工会社の方々の現場状況などのお話しを踏まえて機材製作を進めました。
自慢ではないですよ、少しでも貢献できたかなあと思ったので。

今頃もこれらの機材が活躍していることを願うばかりです。

φ3000mmケーシング
円形立坑構築機

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