管渠の最終仕上げ

前回は、到達後の”押し切り”について投稿しました。
この押し切りのあとは、工事に使用した設備や資材などの撤去作業になりますが、管渠の最後の仕上げとして、大切な作業が残っています。

”裏込め材の注入作業”になります。

「トンネル堀削において、セグメントまたは他の覆工と地山の掘削面の間にできる空隙、豆砂利・モルタル・コンクリートなどをてん充すること。地表の沈下現象の防止、覆工面に作用する土圧を均等にするために行なう。」

「裏込め注入工は、トンネル覆工と背面の地山との間に発生した、あるいは施工時に取り残された空隙や、モルタルや樹脂などの材料を注入することで、覆工厚を確保したり、覆工にかかる土圧を均一化して、崩壊を防ぐ工法である。トンネル覆工背面には地下水などの水分が有る場合が多く、 注入に使用する材料は、覆工背面の空隙中を圧力で押されて進むが、水中で水と容易に交じり合わない性質を持った可塑性モルタルや、 水分に触れると発泡し、水分に沿って進んでいく性質の発泡ウレタンなどが用いられる。」

と記述があります。シールド工法の記述ですね。推進工法でもほぼ同様のことです。

推進工事では、このトンネル=推進管の管外周部にマシンや刃口が掘削した掘削外径と推進管外径の差に10mm~25mm程度の空隙を滑材やテールボイドが充満されています。しかしながら、これらは管の円形断面上、下部へ劣化するという状況が予測されますので、最終的には空隙部に裏込め材を加圧充填して地盤沈下の防止や土圧の均一化により管外周部の崩壊を防止する役割になります。

裏込め注入の際には、推進管の上部2箇所に管を立坑下に吊り降ろす穴(=のグラウトホール 英語 grout)よりグラウトミキサーとグラウトポンプを使用して裏込め材(セメント・フライアッシュ・粉末粘土・ベントナイト・分散材の混和材)を注入します。注入の圧力を2kgf/㎠(0.2MPa)以下で行うと思いますが、軟弱地盤や高水圧下では、圧力管理は重要になると思いますし、管外周部には滑材注入、泥濃式推進ではテールボイドが形成されていること、地山の土質種類や水圧などによって、裏込め材が計画数量より充填されないことも発生します。

単に注入量を計画して注入するだけでは管渠は安定しませんし、先の将来に管渠の周辺で緩みや空隙が発生する可能性もあります。
ここもマシン掘削と同じように非常に気を遣う作業であり、数量計算や数値だけでは表せない地中の状況がありますので、推進専業者の方々の意見や意向を元請業者の方々はご理解いただき施工完了していただきたいところです。

裏込め材検収立会い
裏込材攪拌混合
管内注入作業状況

Follow Me!

現場

前の記事

推進管の押し切りまで
現場

次の記事

円形小立坑の築造