地中の障害物(支障物)への対応
前回、投稿を私事で急遽変更しました。
今回は、その時にご覧いただこうとしていた内容を掲載したいと思います。
推進工事を行う際に、地中の調査(土質調査)を実施しますが、推進延長が数百メートルもあるのに、全路線を調査するには莫大な費用が掛かりますし時間もかかります。推進工事の計画に際しては、50mほどの間隔で土質調査が行われています。それでは、この調査がされていない区間はどのようになっているか、などということは、”想定値”なのです。前が見えないところを掘削して押し進めることでもリスクが大きいのに、土質調査の箇所も飛び飛びで、予測だけで掘進されています。
そんな一か八かのような工事、大変なはずであることは皆さまもご理解いただけると思います。
「土質の相違」をテーマにした際にも触れたと思いますが、この土質調査の間隔が大きいことでも土質が異なったり、今回触れます”支障物”が出現するのです。
下の写真は、掘削途中で松杭に遭遇してマシンでで切削したという写真です。
この現場では、工事が計画された当初から地中に松杭が埋設されていると予想されていて、これらを切削しながら推進工事ができるかどうかを検討してから開始されていたと聞いています。このような場合は、どのようにすれば松杭を切りながら掘削・推進できるかを考えるか、予想されている箇所で地上から引き抜いてから掘進するかになります。
写真にあるように、マシンのカッターに装備されているビットを付け替えることは考えつきますが、マシンは円柱型であり、掘削中はカッターが松杭に突き刺さったらカッターの回転力に反する力が働き、マシン本体が逆回転しようとします。(=マシンが回転することを”ローリング”と呼んでいます。)
この作用によりマシンの姿勢制御が効かなくなることがあるので、マシンのオペレーターは、掘進速度を下げたり掘削物の排出状況を入念に注意しながら進めています。文章ではこの程度の説明ですが、このような状況下で掘進することはとても難しいマシン操作になります。安易にできますと言える工事の状況ではないということをお伝えしたいです。
・マシンで切る力(カッタートルク)は充分か?
・カッタービットを改良して切り刻むためのビットの種類と配列
・マシンのローリング防止方法
・掘進速度をどのようにするか
など、いろいろな角度から検討をして施工に臨まれたそうです。オペの方の話しは詳しく聞けませんでしたが、この松杭に突き刺さらない程度に掘進速度を調整して、特にマシンがローリングしだしたら止まらないであろうと思い、慎重な運転だったようです。
ここでも、オペレーターさんの運転技術や経験値が大きく貢献していると思います。
地中には予測不能な事象が多くあるので、推進工事が中断することもしばしばあります。
どうぞ、事前の検討・推進途中の協議を大切にしていただき、また追加費用も想定外になることもありますので、発注者・元請け会社様の推進工事専門会社の方々への真摯な対応もお願いしたいと思っております。