マシンのカッター形状について
機械式推進では土質条件によってマシンの性能が大きく関わることは、この業界の方々は熟知されていると思います。マシン製造会社(以降 メーカー)やレンタル会社は、前回の工事が終了し、次回の使用が決定すると、納入予定にあわせて整備を実施します。工事では整備完了した良品を提供されているので安心されてよいことですが、ちょっとしたことに気づかれているかな、と時々思うところです。
マシンのカッターには、
1.面板タイプとスポークタイプがあること
2.掘削するために装備されているビットの形状や種類
3.カッター自体の厚み
4.面板の場合は開口率、最外周部の開口
5.仕様図と実際に装備されているビットの配列の相違
1~5について、メーカーとレンタル会社は、施工会社へ仕様図を渡し承認を受けます。その際に、土質条件などによりマシン本体の性能やカッターに装備されているビットの配列などを確認できます。しかしながら、必ずしも仕様図のままで、良好な掘削ができるというわけではありません。具体的な施工状況と想定される地山の状況を踏まえて毎回検討することが重要になります。
面板タイプの場合は、掘削した土砂を坑外に排出するのに最適な開口部が必要です。開口部が小さすぎれば、大きな礫などを坑内に取り込むことができず、マシンは前進できません。逆にスポークタイプの場合は、開口部が大きく大きな礫が取り込みやすいので、カッター後方にあるチャンバー内で滞留して詰まったりします。
いずれも、土質条件・地下水(水圧)そして、忘れがちなのは発進と到達の立坑部の地盤改良についてです。改良区間はマシン長くらいですが、JSGなどで硬質になる改良では、マシンの能力とビット装備や面板の開口部の大きさで掘削が困難になるケースが多々あります。普通土用のビットで硬くなった改良区間は掘削に時間を要すどころか、掘削できないケースもあります。また、開口部が大きすぎて掘削した土砂や塊を搬送する排土管(配管)が閉塞するなども発生します。
こうしたケースを未然に防ぐためには、入手したマシン仕様図のカッター形状を施工条件や経験値を思い出してじっくり検討することが順調な掘削と推進になると思います。
私もたくさんの現場に携わりました。私見になりますが、お勧めするカッター形状をご提案できる機会があると良いですが…。
カッター形状については、書ききれないくらい、お伝えしたいことがありますし、よかったら気軽にお声かけていただきたいです。