地下水との葛藤

土木工事における推進工事などの地面の下を掘ることは、土の性状(土質)と水(地下水)を考慮した掘削工事をすることが必須です。
ボーリング調査では、地質・地下水位・透水係数などが表記されており、事前に施工計画書を作成することで、どのような現場に向かうかを把握して実施しています。しかしながら、前回の投稿のように土質の相違や地下水・地下水圧影響は予測を超えることもしばしばあります。現場では、予測不能な事態が発生することがあるので、私の中では決死の覚悟で現場を進めていると感じるところです。ご苦労が絶えない工事を見ていると、やはり建設工事は大変な苦労をするイメージがぬぐえないのでしょうか。

ふと、土木工事という定義を改めて調べてみました。

土木工事(どぼくこうじ)とは、建設工事のうち、土木事業に関する工事。
土木事業(どぼくじぎょう)とは、建設事業のうち、建築事業以外の事業の呼称。都市計画事業・都市建設事業のうち、土木分野の事業もいう。 また、建設業の事業内容、ゼネコン・建設会社における建築以外の建設事業。
また、私のような古い時代から建設業に関わる人間が聞かされているイメージは、
「きつい」「汚い」「危険」 これらを”旧3K”として、最近、新3K 「給料が良い」「休暇が取れる「希望が持てる」といった建設業の若い担い手を確保するために、建設業界は大胆な改革を進めて「新3K」を実現する必要があります、という記事がありました。

機械屋の私は土木工事に関わっていながら3Kを体感してはいないので、現場で作業されている方々の声を受けて何か手伝えることでもあれば良いのではないかと思いながら、なかなか実行することがありません。

先日、現場にお伺いしたところは、河川を横断する工事、地下13mの発進立坑と到達立坑を30mほど掘進し到達を迎えるところでした。発進時も地下水が多いことや水圧が高いことで鏡切に苦労されていて、発進坑口付近の補足注入をされたと聞いていたところ、到達もマシン回収のため探りを入れたが、やはり地下水が止まらず到達立坑内に地下水を含んだ泥水が流入し始め、作業員の方々は止水作業などにより腰のあたりまで水に浸かってしまった状況でした。地山や地下水との葛藤の日々が続いていたようです。

その時私は何も力になることはできませんし、工事完了後のレンタル設備の引取車両も延期になります。
ですが、現場の皆さんはマシンを回収させて管渠を貫通させることが使命ですから、危険ギリギリになることも予測して作業しなければなりません。また、万一マシンや地下の設備が水に浸る(水没)すれば多額の修理費が発生します。地下水は地中に必ずあり、地下水位がどのあたりにあるのか、地下水圧はどの程度かは計画されている管渠の深さを加味しますし、滞水されている地層や水が通りやすい地質、河川や海に近い場所での工事は、細心の注意が必要になります。

数日後、到達の止水作業も完了し、無事にマシンを回収して到達されましたが、それまでに10日ほどの日数がかかっていました。地下水との格闘ともいうくらいの粘り強い作業を実施された作業員の方々のおかげで、今日の管渠が埋設されていることを、もっと世の中の人々に知っていただきたいし、今後この業で活躍される若者が集まってくれることを願うばかりです。

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