推進力の判断

業者さんと話した時のこと

とある現場で、呼び径2000mm、推進距離400m超え、1スパンの工事がありました。
土質は砂礫層、こぶし大の礫がゴロゴロ排泥として出てきたようです。この工事は、中押ジャッキ設置を設置しない計画でしたし、昨今の工事は長距離施工で中押ジャッキ設置をせずに到達できています。もちろん、計画段階で中押ジャッキ設置が不要ならば計画通りで実施すれば良いのですが、工事の中には当初より土質が悪くなっていたり、滑材注入の効果が得られないような地盤であることもしばしば。施工計画で準備した推力算定よりはるかに低い推進力で施工を終えられることがほとんどなのは、施工会社さまの技術力・対応力によるものと思います。
この工事で、立坑掘削時の礫の量(礫率)が当初の土質調査より多く見受けられたこと、また前回の付近の施工で、推進力が計画推力より増大したことを受け、中押ジャッキの設置を検討されたようです。このお話しに、私は賢明であると思いました。
・大口径推進であること
・砂礫層(恐らく、礫率70~80%はあるだろう)
・曲線半径R=200mではあるが、曲線区間が到達まで52mと長い
私が関わっていても、中押ジャッキ設置を勧めるところです。なぜか?経験値ですけど・・。私は機械屋ですが、現場数では施工会社の方々より対応した数は多く、施工途中や到達時の結果も多く聞いています。推力算定では、ある工法では600t、また他の工法では1000tと大幅に異なっていたようです。結果、粘土層と砂礫層が変則的にあり、初期の段階でも推進力は計画よりどんどん上がる一方で、滑材を多量に注入してからなんと安定した推進力で掘進でき、中押ジャッキを使用しないで到達を迎えたようです。中押ジャッキ設置によって安心感は全く違いますし、なんにせよ確実に不測の事態に対応できます。
このように、推進力の判断は”推力算定でOKだから大丈夫だろう”よりは、慎重に検討や準備をされることを改めてお伝えしたいと思います。中押ジャッキの設備や管材料費は目安がつきますが、推進不能な推進力になってからの費用は計り知れないです。今一度、推進力への慢心にはお気を付けください。

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