刃口推進(その4)
前回の投稿で、刃口推進についての説明を書いてみました。第2弾です。
そもそも、人力または機械で地中を掘って、土を出して、ジャッキを利用して埋設管(ヒューム管など)を押し進めるという工程を繰り返すことにより、パイプラインを完成させる工事が「推進工事」です。また、推進工事の原点になるのが「刃口推進」です。どのように工事が進められているか、工事中の下の写真をご覧ください。
地中を掘り進めていきますが、この先端部分を”切羽(きりは)”と呼びます。切羽部分が丸見えになっています。土の部分だったり、鉄骨部分?だったりしているように見えると思います。工事が開始したばかりですと発進立坑の箇所ですので、切羽前面は鉄製の柱や矢板(やいた)・ライナーといった鋼製の構造物で囲まれている場所です。これらは、立坑の内部に土砂が崩れてこないようにしています。立坑を築造(:つくること)する時は、地盤を固めて杭や矢板を打ち込んだり、ライナープレートを組立ながら立坑を掘削(:地下に掘り下げている)します。この鋼製部分は、ガス切断して除去してから地中を掘進(:横方向に掘り進める)していきます。
写真は、工事の初期段階の風景ですので、鉄骨部分の周りの土を掘って、トロバケットに積み込んでいるところです。前回掲載した施工フロー図を合わせてご覧いただくとさらにイメージが沸くと思います。写真奥の切羽部分では人力で掘削、掘削土砂は写真手前のトロバケットに積まれています。写真左右には、推進用の推進ジャッキのシリンダー部分が伸びています。このあと、推進ジャッキのシリンダーが2.43mのヒューム管を押し切って次のヒューム管をセットして掘削&ジャッキで押し込むを繰り返します。人力掘削ですから、一人ではとても続けられないので、複数人で交代しながら掘削します。私も切羽までよく行きましたが、さすがにφ800mmやφ1000mm(:管の内径)の中は狭いですし、作業性は良くなかったです。そして工事が進むと、100mや200m先の切羽まで行くだけでも一般の方では大変なことです。
刃口推進は、地盤が自立(じりつ)していることが条件ですが、いざ切羽を目の当たりにすると地中の凄さを感じますよ。