刃口推進(その3)
この業界の施工会社の皆様は、推進工法について詳しく会社案内やWEBで紹介されていますので、あえて記述する必要もないと思いましたが、管渠工事ではこの刃口推進から機械で地中を掘進する機械式に発展を遂げていきました。刃口推進は、推進工事を行う上での基本になると思います。概要図や写真などで、どのように工事が進んでいくのか書き記してみようと思います。昨年の4月に少しだけ投稿しましたが、”スコップやブレーカーで地中を掘削する”くらいしか書いていませんでした。
もう少し掘り下げてみましょう。
推進工事ですから、立坑を2つ(発進・到達)を作り、横穴を掘進しながらヒューム管などの管渠を元押ジャッキで推し進めていくことは大前提で、掘進する手段が、”スコップやブレーカーで地中を掘削する”になります。掘進する先端に刃口と呼ばれる円柱型の刃先をヒューム管に接続して地中を人力で掘り、掘り出した土砂をトロバケツに積み込み、このバケツが満タンになったら、ヒューム管の中を通り、発進立坑へ輸送し、地上へ吊り上げます。前に進んだ分は、油圧ジャッキ=元押ジャッキを推し進めています。
下のフロー図を見ていただけるとイメージが沸くと思います。掘って・押して・土を出して・前に進む、この繰り返しです。刃口推進は通称”普通推進”と言ったり”手掘り”とも言います。機械やコンピューターが発している昨今ですが、今でも人力で掘っています。この”人力で掘る”ことが必要な場面が今日も存在しますし、この地中の土の状態を知ること自体が推進工事には大変重要なことになるのです。
基本的に刃口推進を行う場合は、掘る位置が自立している地盤を掘進します。掘っても崩れない、とうい感じです。地下で掘り進める先端は何も見えません。日本の地形・地中にはいろいろな地質が存在し、柔らかい・硬いも砂・石・岩地下水が多い・少ないなど、変化に富んでいるのが特色です。地中が柔らかく、地下水が多ければ、掘り進める土はヒューム管の中に流れ込み、ヒューム管の中は土砂でいっぱい、人力ですから危険ですね。このような時は、あらかじめ掘る位置(管路)を固めてたり地下水を止めてから掘進もします。
今回は、この図をご覧いただいて工事がどのように進むか、どのようなものかをご理解いただければ良いと思いました。