泥水式推進工法(その2)
前回、泥水式推進工法のフロー図を掲載しました。工事で使用する機材を以下にまとめてみました。
フロー図に示した機材がどのように使われているのか、簡単に説明してみようと思います。
ちょっと長くなるかもです。
1.掘進機(マシン)
地中を掘り進める手段。カッターの回転により地山を掘削し、本体の行き先を方向修正ジャッキで舵取りする。また掘削中は、地山の崩壊を防ぐために切羽の安定を圧力計にて監視・制御しながら元押ジャッキのスピードも調整する。
2.送泥(そうでい)ポンプ
切羽を安定させる作泥水を泥水処理装置から切羽に向けて送るポンプ。”P1(ピーワン)ポンプ”と呼ぶ。
推進距離や土被りによって、能力を選定してから使用する。
3.排泥(はいでい)ポンプ
掘削した土砂と切羽に送った作泥水を地上まで送るポンプ。”P2ポンプ”
このポンプは、輸送できる距離(性能)が出力や構造で異なるので、長距離推進では、中継ポンプ(P3ポンプ)を推進管の中に設置することがある。
4.泥水処理装置(でいすいしょりそうち)
排泥ポンプで送られた泥水の土粒子を篩分けし、再利用できる泥水を貯留する、送泥ポンプで送る作泥水を作る装置。本体の上部は、サイクロンと振動篩が装備され、下部は調整槽という鋼製のタンクで構成されている。サイクロン(掃除機に使用している)と篩に振動を加えて、粒子の大きいもの(石や砂)と粘土・シルトといった粒子の細かいものに分けている。粒子の大きさは74μmまで分離できる。
5.元押装置
推進工法では必ず使用する、必需品。油圧の力でジャッキを伸縮させてマシンと推進管を押し込む。
6.配管材(はいかんざい)
送泥ポンプ・排泥ポンプで泥水を輸送する鋼管で両端にSカラーを付けている。鋼管の接続はビクトリックジョイント(ヴィク)を使用する。鋼管は、推進管の標準長さ2430mm(2.43m にーよんさんと呼んだり)に合わせていて、サイズは2インチ(2B)から4インチ(4B)、6インチ、8インチまで使用されている。一般的にマシンの大きさ(外径)で決まっている。φ1000mmのマシンなら4インチ、φ2000mmなら6インチ。配管の太さによって、泥水の流れる量(流量)と速度(流速)はほぼ決まっていて、送泥用の鋼管と排泥用の鋼管を使用して、切羽から泥水処理装置を循環させている。
7.グラウトポンプ・グラウトミキサー
これも必ず使用する装置。
推進管が押し切り終わったあとに、推進管の外周部に裏込め材(モルタル)を注入して、推進管と地山の隙間に注入する。地山の緩みを防止するために推進管のに空いている2つのグラウトホール(管をつり降ろす時にも使用する)から外周部すべてに注入する。
フロー図には記載しませんでしたが…
滑材注入装置・電磁流量計・立坑バイパス・カナパワーホースなど必須の機材があります。
また、余談ですが… 掘削した土砂の処理装置では、泥水処理装置を”1次処理”として使用しますが、これを”スクリーン”、”フルイ”、”デサントマン(商品名からつけられた)と呼んだりします。また”2次処理装置””3次処理装置”といった土質や工事の条件を考慮して設備を計画していきます。
これらの装置や機材を6,7名で現場で準備して動かす役割が分担されて工事が進みます。
やっぱり、現場を見てほしいですね、機会があれば。すぐに理解できると思います。
私も現場で多くを学びましたし、作業されている方々には感謝しかないです。
長くなりましたので、今回は、これくらいにしましょう(^-^;